日本ブランドのための中国SNSマーケティング最新分析レポート
― ウェイボーの衰退と、今後台頭する「微信動画号」への転換 ―
公開日:2025年11月6日
■ エグゼクティブサマリー
現在、日本企業が中国市場向けに活用している主なSNSは、小紅書(RED)・抖音(TikTok中国版)・微信(WeChat)・Bilibili の4大プラットフォームです。短動画とライブコマースを中心に、SNSが「認知→購入」までのフルファネルを担う時代になりました。
一方で、かつて中国SNSマーケティングの主役だった微博(Weibo)は、成長停滞とROI低下により、主要な販促チャネルとしての地位を失いつつあります。
そして今、最も注目されているのが「微信動画号(WeChat Channels)」です。14億人以上のユーザーを抱える微信エコシステム内で、動画号が広告・EC・ライブ機能を統合し、企業が「SNS×決済×CRM」を一気通貫で運用できる環境が整いつつあります。
■ 1. 現在日本で流行している中国SNSマーケティングとは?
① 小紅書(RED):Z世代・女性層中心の生活提案型プラットフォーム。信頼性と口コミ拡散力が高く、在日撮影+中国語投稿が効果的。
② 抖音(TikTok中国版):短動画+ライブコマースが主軸。ECシステムを内包し、販売までシームレス。
③ 微信エコシステム:SNS・決済・CRMが統合。動画号と小程序の連携で購買導線を完結。
④ Bilibili / 快手:若年層・アニメ系に強いBilibili、地方・中小都市に强い快手。
■ 2. なぜ微博(Weibo)は衰退したのか
- 短動画アプリにユーザー時間が流出
- 成長停滞・広告収入減少
- EC導線が弱く離脱率が高い
- 炎上・誤情報によるブランドリスク
微博は「広報・話題化」に特化し、販促は小紅書・抖音・微信動画号へ移行するのが望ましい。
■ 3. 今後注目すべき新プラットフォーム:微信動画号(WeChat Channels)
微信全体ユーザー14億人超、広告収入前年比60%増。動画号→小程序→微信支付→企業微信でCRMまで統合。日本の観光地や百貨店では微信支付普及により、O2O型マーケティングが可能に。
■ 4. 日本ブランド向けプラットフォーム戦略比較
| 目的 | 最適プラットフォーム | 主な施策 | KPI |
|---|---|---|---|
| 認知・話題化 | 小紅書→抖音 | インフルエンサー投稿 | 保存数・視聴完走率 |
| 販売拡大 | 抖音→動画号 | ライブ販売・広告 | 購入率・ROI |
| 継続購買 | 動画号+小程序 | 会員化配信 | リピート率 |
| ブランド発信 | Bilibili+小紅書 | 長尺動画・共創 | 検索ボリューム |
■ 5. 実施ロードマップ(6か月)
- 1か月目:各アカウント・微信連携基盤の整備
- 2〜3か月目:動画号定期配信+小紅書・抖音連携
- 4〜6か月目:広告+実店舗QR連携・ROI可視化
■ 6. リスクと注意点
- 法規制遵守(医薬・化粧品表現)
- KPI偏重を避けLTV重視
- インフルエンサー依存を防ぎ自社配信力を確保
■ 結論
中国SNSは「宣伝媒体」から「販売・CRMプラットフォーム」へ進化。小紅書=信頼構築、抖音=販売拡大、微信動画号=リピート購買と顧客維持。特に微信動画号は、オンライン→現地購買→帰国後リピートのO2Oサイクルを構築できる唯一の環境であり、日系ブランドにとって最重要なチャネルとなる。
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